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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科23巻2号

1995年02月発行

文献概要

研究

Neurofibromatosis 1,2の臨床検討—脳腫瘍で診断された自験21例

著者: 新田泰三1 佐藤潔1

所属機関: 1順天堂大学脳神経外科

ページ範囲:P.131 - P.135

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Ⅰ.はじめに
 神経線維腫症(Neurofibromatosis;NF)はその発病に関与する染色体異常を全く異にする2つの疾患群からなる.まずレックリングハウゼン神経線維腫症と呼ばれるNF 1は約3.000人に1人の発生頻度(0.03—O.04%)であり,カフェオーレ斑(multiple brown skin macules),雀卵斑(intertriginous freckling),皮膚の多発性神経線維腫等の皮膚症状を主症状とするため,診断は容易である1,6,20).このNF 1の10-15%に中枢神経系腫瘍を合併することが知られている.また一方,かつて中枢型線維腫症(central neurofibromatosis)と呼ばれていたNF 2は,両側の聴神経腫瘍を主徴とするが,NF 1に認められる皮膚症状に乏しい2,4).このことより発生頻度はNF1の10分の1以下にすぎないにもかかわらず,脳神経外科領域に於てはNF 1以上に遭遇する機会が多い.NF 2は,常染色体優性遺伝疾患であり,95%以上の浸透率を示すためNF 2患者の子供は50%の確率でNF 2を発症する12,16).事実1930年に1家系に38人のNF 2患者が存在していることが報告されたが,この家系は40年以上が経過した現在患者数が100人以上に増加していることが示されている22,23).4万人に1人という低い発生率で,大部分が家族歴のない新生突然変異でありながら,上記家系のように時代とともに増加してゆく危険性をはらんでいる.また両側の聴神経鞘腫であるため,聴力障害は必発で,聴力廃絶患者も散見される.顕微鏡手術が進歩してきた現在に於ても全摘出された一部の症例を除き,非NF 2で通常の聴神経鞘腫の患者と比較してその予後は,日本脳腫瘍統計よりも極めて不良である14).NF 1,2に関する分子遺伝学的解析は,近年の遺伝性疾患の研究の中でも最も精力的になされ,ほぼその遺伝子異常が解明されている17-19).そこで,これらNF 2症例を臨床画から検討してゆくことは治療を考えてゆく上で種々の問題点が提起されることと考えられる.本稿ではNF 2,14症例に加え脳腫瘍を主徴としNF1と診断された7症例の臨床検討を行った.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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