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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科23巻3号

1995年03月発行

文献概要

総説

悪性神経膠腫の免疫療法

著者: 能勢忠男1 中川邦夫1

所属機関: 1筑波大学臨床医学系脳神経外科

ページ範囲:P.195 - P.206

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I.はじめに
 悪性脳腫瘍の中でも悪性神経膠腫は,種々の治療に対して最も抵抗性を示す腫瘍である.現在,外科的治療,放射線治療,化学療法および免疫療法を中心とした治療が行われているが,十分な成果を得ていないのが現状である.免疫療法の長所は,他の治療法に比して腫瘍特異的であるので,正常組織に対する障害が少ない点にある.特に,脳は機能的に特殊な臓器であるので,腫瘍周辺の正常脳組織への障害を可及的に少なくする必要がある.また,脳腫瘍が中枢神経系以外の臓器に転移することは極めて稀であるのは,よく知られた現象である.従って,脳腫瘍の局所コントロールが正常脳組織を損なうことなく改善されれば,それが脳腫瘍の患者さんの生命および機能予後を改善することになる.これらの点から,悪性神経膠腫に対して免疫学的な反応を利用した治療法を研究,開発することは,意義のあることと考えられる.そこで,本稿では悪性腫瘍に対する免疫療法の歴史的経過を踏まえて,最近行われている主な免疫療法について,自験例を含めて言及したい.さらに,近年発展しつつある免疫遺伝子療法についても言及する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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