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総説
近赤外線
著者: 星詳子1 田村守2
所属機関: 1北海道大学小児科 2北海道大学電子科学研究所超分子分光分野
ページ範囲:P.293 - P.299
文献購入ページに移動近赤外分光法は,組織の酸素化状態をリアルタイムで連続的にモニターすることができる新しい非観血的計測法で,近年多くの注目を集めている.この方法により組織血液量,ヘモグロビン(Hb),ミオグロビン(Mb)の酸素化状態,さらにミトコンドリア内チトクロームオキシダーゼ(cyt.ox.)の酸化一還元状態を測定できる.特にcyt.ox.の酸化—還元状態の測定は,従来の方法では知り得なかった細胞内(ミトコンドリア内)の酸素化状態の情報を直接与えてくれる.本法は患者モニターのみならず,様々な生体現象解明の一手段としても応用することができる.しかし,現時点ではまだ解決すべき幾つかの間題が残されており,主たる問題点は定量化とcyt.ox.の酸化一還元状態の測定法に関するものである.定量化とcyt.ox.の測定法の問題は,本法の将来性にかかわる重大な問題である.そこで,近赤外分光法の基本原理やHbの測定の詳細は幾つかの総説1,2)を参照していただき,本稿ではこれらの問題点を整理し,さらにその解決法を提示してみた.
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