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研究
大孔および上位頸椎病変に対するHigh Lateral Approach
著者: 堤一生1 浅野孝雄1 茂野卓1 松居徹1 伊藤正一1 金子勝治2
所属機関: 1埼玉医科大学総合医療センター脳神経外科 2埼玉医科大学第一解剖学
ページ範囲:P.301 - P.309
文献購入ページに移動上位頸椎に対するlateral approachは,1966年のWhitesidesの報告19)以来よく知られているが,内頸動脈の後方から進入するという意味で“lateral”であり18),一種のanterior(anterolateral)approachである.真の意味でlateral approachと呼べるものは頸椎側面部に対して真横から視野を得る方法であろう,この方法はHenryにより紹介されているが,椎骨動脈(以下VAと略)の存在が大きな障害となるため一般には普及しなかった9).しかし,VAの問題さえ解決すれば,下位脳神経を前方に避け,頸椎(以下Cと略)に対して最も側方から視野が得られるため極めて有用な方法であろう.
われわれは1988年以来,high lateral(cervical)approach(以下HLAと略)と名付けた胸鎖乳突筋(以下SCMと略)後縁から頸椎側面部に進入するアプローチを用い,前方からでも後方からでも治療が困難な症例,たとえば頸椎側面部から前方へ延びた骨腫瘍,脊髄前面の上下に伸展したexophytic astrocytoma,dumbbell型の神経鞘腫などに対して摘出術を行ってきたので,その詳細および適応につき考察を加え報告する.更にcadaverを用いて,このアプローチの詳細を解説する.
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