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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科23巻5号

1995年05月発行

文献概要

研究

中脳グリオーマの臨床病理学的検討

著者: 新田泰三1 佐藤潔1

所属機関: 1順天堂大学脳神経外科

ページ範囲:P.405 - P.410

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I.はじめに
 中脳グリオーマ(brain stem gliema)は小児に好発する天幕下脳腫瘍であり,発生頻度は小児脳腫瘍の8-25%を占める7,12,14).小脳半球のアストロサイトーマは予後良好である3,18).また髄芽腫も、かつては最も予後不良で悲惨な脳腫瘍とみなされていたが,手術および放射線,化学療法の進歩によって予後は著しく向上している.しかし,この二者に比して脳幹グリオーマの予後は未だ不良である2,11).その大きな理由としては,脳幹グリオーマの大半を脳橋グリオーマ(pontine glioma)が占め,その予後は6-8カ月にすぎないからである14)
 しかし一方,この脳幹グリオーマの中でも,主に中脳に位置し,後方のSupracerebellar cisternに突出したexophytic typeのグリオーマは外科的に摘出術が可能で,また組織学的にもlow-grade astrocytomaであることが明らかになってきている10,20),つまりEps teinらのIntrinsic foual type, exophytic into Ⅳth ventricletype,またHoffmanらのgroup Ⅰ(focal midbrain glioma)やIntrinsic tectal tumorであり,これら中脳グリオーマに対しては,積極的に外科治療が行われてきている4,5,9).日本脳腫瘍統計でみると,発生頻度は低く特に中脳グリオーマとは分類されていないが,脳橋グリオーマとは明らかに異なる疾患と考えられる14).そこで,これら脳幹グリオーマの中で,中脳に主座をおく中脳グリオーマの臨床および病理学的検討を加えることは患者の治療を考える上で重要と考えられる.そこで今回私達は中脳グリオーマ自験9症例を対象にして検討を行った.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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