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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科23巻5号

1995年05月発行

文献概要

研究

小児悪性脳腫瘍に対する末梢血幹細胞移植併用大量化学療法

著者: 関貫聖二1 坂東一彦1 白川典仁1 松本圭蔵1 高上洋一2 黒田泰弘2

所属機関: 1徳島大学脳神経外科 2徳島大学小児科

ページ範囲:P.411 - P.415

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I.はじめに
 通常大多数の抗癌剤使用時においては,骨髄抑制がdose limiting factorとなることが多い.そこで,化学療法後の骨髄抑制をあらかじめ採集していた血液幹細胞を移植することにより克服して大量の抗癌剤投与を可能にする治療法が以前から種々の領域の悪性腫瘍で試みられたきた10).中枢神経系の悪性脳腫瘍の化学療法においても悪性グリオーマに対するnitrosoureaを中心とする自家骨髄移植による大量化学療法が試みられた時期があったが5),nitrosourea単剤の大量投与を行う場合には肺線維症等の骨髄抑制以外の副作用が強く出現,それらの副作用がかえって患者の状態を悪化させることが多いために,最近では脳神経外科領域での同治療法ではあまり試みられなくなってきた.
 さて,自家末梢血幹細胞移植を併用した化学療法は1980年代にNebraska大学等で臨床応用が研究されてきた治療法であり4),本邦では当院小児科の高上らがはじめて白血病を中心に臨床に導入14),現在白血病の治療においては同種,自家骨髄移植とならぶ第3の方法として注目されている治療法である.本法は基本的には同種骨髄移植や白家骨髄移植と類似した治療手技であるが,後二者に比べ種々の長所があり,応用範囲が広い.しかしながら現在までのところ脳腫瘍への本法の応用は散見されるが確立されておらず3,9),今後その脳神経外科領域への応用,発展が期待されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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