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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科23巻6号

1995年06月発行

文献概要

症例

化学療法(carboplatin,etoposide,adriamycin,bleomycin併用)と放射線照射の併用が有効であった再発頭蓋内悪性胚細胞腫の1例

著者: 吉沢秀彦1 松谷雅生1 三好明裕1 長島親男1

所属機関: 1埼玉医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.549 - P.553

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I.緒言
 Germ cell tumorの治療の問題点の一つは,組織像の多様性と,各々の組織像と組織構成により治療成績が異なることである.germinomaは極めて放射線感受性が高く,純型であれば完全治癒も期待できるが,純型ger—minomaとmixed germinomaはほぼ同数と報告されている5).従って組織診断を行わずにgerminomaと診断した場合は,放射線療法により一旦腫瘍が縮小しても再発し,germinoma以外の組織要素が主体を占め,治療に抵抗を示すことも少なくない.
 今回われわれは,尿崩症にて発症しAFP(alpha feto—protein)およびHCG(human chorionic gonadotropin)とも陰性で,鞍上部germinomaの診断の下に放射線療法を施行し腫瘍はほぼ消失したにも拘らず,6年後に局所再発と頸髄播種を示しAFP,HCG共に高値を示した1例を経験した.幸いにもcarboplatin,etoposide,adria—mycin,bleomycinの4者併用化学療法と,放射線療法の追加により完全寛解が得られたので,その経過を報告し,germ cell tumor治療の問題点について考察する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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