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症例
Painful tic convulsifを呈したepidermoidの1例—MRIにて原因疾患の同定が困難であった症例
著者: 篠田宗次1 草間律1 長弘之1 森茂夫1 増沢紀男1
所属機関: 1自治医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.599 - P.602
文献購入ページに移動三叉神経痛と同側の顔面けいれんがほぼ同時に発生する症状をCushing2)はpainfun tic convunsif(tic convul—sif)と名づけているが比較的稀な症状であり,脳腫瘍がその原因であることは更に稀とされている.さて突発性三叉神経痛や顔面けいれんの病因として,微小動脈がこれらの神経の脳幹側を慢性に圧迫していることが原因であるとし,その手術療法としてGardner3)やJannettaら8)の報告以来,微小血管減圧術が確立されている.しかしこれらの症例の中には椎骨動脈系の血管異常や腫瘍が原因である例も知られている.当教室でも手術を決定する前にこれらの原因を検索するため,CT・MRIなど器質疾患を否定してから微小血管減圧術を行っている.今回術前の5mm間隔のMRIによって腫瘍などが否定的と思われたにも関わらず,手術にてepidermoidであったtic convulsifを経験した.稀なtic convulsifを報告すると共に,この病態では脳腫瘍特にepidermoidの可能性を念頭に置くべきと痛感したので報告する.
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