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症例
橋出血にて発症した,transpontine veinを導出路にもつ脳幹部mixed cerebrovascular malformationの1例
著者: 須賀俊博1 後藤英雄2 吉岡邦浩3 佐野光彦4
所属機関: 1釜石市民病院脳神経外科 2岩手県立宮古病院放射線科 3せいてつ記念病院放射線科 4盛岡友愛病院神経内科
ページ範囲:P.609 - P.613
文献購入ページに移動近年,出血で発症したvenous angiomaの手術標本やMRI所見の検討の結果,cavernous angiomaなどの他の種類の脳血管奇形の隣接併存が明らかとなった例が,報告されている1,8,9,12,14).この場合,出血の責任を,venous angioma自身よりも,併存する他の易出血性脳血管奇形に,求める報告が増えている1,8,12).われわれは,このような多種類の脳血管奇形の隣接併存を,Awardの提唱に基づいて1),mixed cerebrovascular malformation(MCVMと略す)と呼ぶことが適切と考えている.なお,Huangは,腫瘍性病変との混同しやすい“angioma”との用語を避けるため,cavernous an—gioma,venous angiomaを,それぞれcavernous venous malformation(CVMと略す),medullary venous mal—formation(MVMと略す)と呼称することを主張しており,以下これに従う3,13).
MRIの普及に伴い,脳血管奇形の発見に著しい発達をみているが,脳幹部MVMの報告は,非常に少ない2,4,10).最近,transpontine veinと呼ばれる,脳幹部を貫いて走る髄内静脈を導出路とした特徴的な画像を呈する脳幹部MVMの報告があり,注目されている2).
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