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極地法と脳神経外科手術
著者: 片山容一1
所属機関: 1日本大学脳神経外科
ページ範囲:P.5 - P.6
文献購入ページに移動脳神経外科の手術と登山には数多くの共通点があるように私には思える.南米のアンデスで高度6000mの氷壁を登攀中に,身につけていた大切な道具が外れて吸い込まれるように眼下の霧の中に落ちていってしまったことがある.そういうときに[しまった!]と思った瞬間のゾッとするような感覚を,脳神経外科の手術を始めてからも感じた.それにもまして,目的を達するための戦略をたてるプロセスがそっくりである.どうやってアプローチしたらいいのか,あの部分はどういう形状になっているのか,どうやって切り抜けるか,こういうことをあれやこれや考えることが本当によく似ている.どのようなルートでも一度誰かが登攀に成功すると,その後はルートの要所が細かく研究される.そのためにだんだんと登るのが容易になっていく.そういった成果は専門誌に報告される.そんなことさえよく似ている.
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