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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科24巻1号

1996年01月発行

文献概要

研究

慢性硬膜下血腫の年齢別発生素因

著者: 山崎義矩1 橘滋国1 北原行雄1 大和田隆2

所属機関: 1北里大学脳神経外科 2北里大学救命救急医学

ページ範囲:P.47 - P.51

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I.はじめに
 慢性硬膜下血腫の発生機序に関しては,Troutter14)の頭部外傷説やVirchow15)の炎症説に代表される種々の仮説が提唱されているが,いまだに定説は得られていない.しかし,何等かの原因により硬膜下に血液もしくは髄液が貯留することが本症発生のinitiating factorであろうという点に関しては諸説は一致しており8,14,15),本症が高齢者に好発する理由も脳萎縮に伴い発生する頭蓋—脳容積の不均衡状態が硬膜下出血を惹起し易いためであると考えられている8).加齢変化以外にも本症を誘発する可能性がある病態として,脳室—腹腔短絡術5,6),外傷後硬膜下水腫7,10),くも膜嚢胞2,11),出血傾向3,4),等のいくつかの因子が報告されており,各々,個別に検討されてきた.しかし,本症の発生原因を明らかにするためには,これらの因子と本症との因果関係の有無を総合的に検討する必要があり,特に加齢変化のない若年者における検討は重要であると考えられる.
 そこで,今回われわれは過去10年間に当院で手術を施行した慢性硬膜下血腫症例を対象に,本症の発生に関与する可能性がある種々の因子の合併の有無および既往にある頭部外傷の重症度を年齢別に分析し,特に若年者慢性硬膜下血腫の特殊性に関して検討した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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