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研究
両側頸動脈内膜剥離術症例の検討
著者: 佐藤光夫12 西坂利行1 遠藤雄司2 前野和重2 高萩周作2
所属機関: 1星総合病院脳神経外科 2福島県立医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.885 - P.890
文献購入ページに移動脳血管障害における脳梗塞の比率は近年増えており,なかでも頭蓋外頸部動脈病変が増加しているといわれている14).この頸部内頸動脈狭窄症に対する頸動脈内膜剥離術(carotid endarterectomy,以下CEAと略す)については,最近のrandomized study,すなわちEuropean Carotid Study Trial(ECST)4),North American Symp—tomatic Carotid Endarterectomy Trial(NASCET)17)をはじめ,欧米での大規模な共同研究7,13,23-25)により,70%以上の頸動脈狭窄を有する症候例では,CEA施行群の方が保存的治療群より優れた脳梗塞の予防効果を有することが報告され今後本邦においてもCEAの症例数の増加が予想される.しかしながら,この頸動脈病変が両側性に認められる場合,その手術適応や手術法,周術期管理について問題となることが多い1,12,15,20).また,本邦において片側CEA症例を100例以上報告している施設の最近の報告でも,両側CEAは上田ら27)の20例を除くと5-9例2,8,18,28)と意外に少なく,未だ十分な検討がなされていないのが現状と考えられる.
そこで今回著者らは,当科で施行した両側CEA症例について,その臨床像,治療成績を検討するとともに,治療上の問題点について文献的考察を加え報告する.
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