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症例
成長ホルモン産生下垂体腺腫を合併したempty sella症候群の1例:経蝶形骨洞腺腫摘出術及びempty sella修復術
著者: 相原英夫1 玉木紀彦1 上山健彦1 石原洋右1 近藤威1
所属機関: 1神戸大学脳神経外科
ページ範囲:P.1119 - P.1123
文献購入ページに移動Empty sellaは,1951年Buschら3)によってその概念が提唱されて以来,近年のMRI等の画像の発達もあって,遭遇する機会は増加している.病態生理の面から,primary empty sellaと,secondary empty sellaに分類され15),下垂体腺腫に合併する場合は,すでに存在していたprimary empty sellaに腺腫が生じた可能性と,腺腫の梗塞,出血,変性などの結果としてempty sellaが生じたとするいわゆるsecondary empty sellaである可能性が考えられる.外科的治療に関しては,腺腫を合併しないprimary empty sellaにおいては,臨床症状と画像所見を考慮しつつ,慎重な手術適応の検討が必要であるとされるが17),腺腫を合併する例においては腫瘍摘出術とトルコ鞍内充填術が必要となる.今回私共は成長ホルモン(GH)産生腫瘍に合併したempty sellaに対し,経蝶形骨洞下垂体腺腫摘出術及びempty sella修復術を行い,良好な結果を得たので,特にその手術法について若干の文献的考察を加えて報告する.
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