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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科24巻2号

1996年02月発行

文献概要

研究

脳腫瘍におけるproliferating cell nuclear antigen(PCNA)発現の解析

著者: 本城康正1 土田高宏2 藤原敬1 長尾省吾1

所属機関: 1香川医科大学脳神経外科 2関西医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.143 - P.148

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I.はじめに
 脳腫瘍は頭蓋腔という閉鎖された腔内で発育増殖する新生物であり,腫瘍細胞の増殖能,増殖速度の程度が他臓器の腫瘍以上に患者の予後を大きく左右する重要な因子となる.近年,腫瘍細胞の増殖能を反映する種々の増殖細胞核内抗原に対するモノクローナル抗体が開発され9-11,18),免疫組織学的染色により腫瘍細胞の増殖能の評価が可能となり,病理組織学的所見と併せて脳腫瘍の悪性度や予後の検討に用いられるようになった5,13,15,24,26-28,30.なかでもDNA合成酵素DNA polymeraseδの補助蛋白であるproliferating cell nuclear antigen(PCNA)4,22)の免疫組織学的検索は,パラフィン包埋切片でも可能であるという利点から最近広く行われている1,7,8,12,23,25).しかし,抗PCNA抗体を用いた免疫組織学的染色では個々の陽性細胞の染色強度に差がみられ,測定者による陽性細胞率の値が一定しないという問題点をはらんでいる.また,PCNAは細胞周期のG1後期からS期にかけて特異的に発現する2,6,16,20)と言われているがその詳細については不明である.
 今回われわれは,細胞周期とPCNA発現との関係をC6ラットグリオーマ細胞を用いた同調培養法により検討した.また脳腫瘍におけるPCNAの発現を免疫組織学的染色法及び定量を意図したimmunoblotting法により検索し,その有用性について検討した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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