文献詳細
研究
大後頭孔前半部髄膜腫
著者: 山上岩男1 山浦晶1 中村孝雄2 礒部勝見3 佐藤政教4
所属機関: 1千葉大学脳神経外科 2加曽利病院脳神経外科 3君津中央病院脳神経外科 4鹿島労災病院脳神経外科
ページ範囲:P.335 - P.340
文献概要
中枢神経系に発生する全髄膜腫の1.29)−3.2%21)を占める大後頭孔髄膜腫は,まれではあるが診断や治療の面で問題も多く,古くから注目を集めてきた.多彩で非特異的な神経症状16)を呈する大後頭孔髄膜腫は,症候学的には単一のカテゴリーとして扱ってよいものと考えられるが,おもに治療上の問題から,腫瘍と延髄・脊髄の位置関係により,ventral,dorsal,lateral typeに分類されることがある14).腫瘍が延髄・脊髄の腹側に位置するventral type(大後頭孔前半部髄膜腫)は,大後頭孔髄膜腫全体の約60%を占め16,21),大後頭孔髄膜腫の中でも摘出がもっとも困難で,手術死亡率も10-30%に達すると報告されている8,11).大後頭孔前半部髄膜腫は,古くから注目されていたにもかかわらず,その発生頻度が低いこともあり,本邦における報告は少ない7,10,11,13,14).われわれは,magnetic resonance imaging(MRI)が使用されるようになった最近の8年間に,大後頭孔前半部髄膜腫5例を経験し,後側方到達法による治療を行ってきた.今回は,これら5例の臨床像や,手術法およびその結果などをまとめたので報告する.
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