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連載 Functional Mappingの臨床応用—現状と展望・4
近赤外線による非侵襲的脳機能マッピング
著者: 渡辺英寿1
所属機関: 1東京警察病院脳神経外科
ページ範囲:P.409 - P.414
文献購入ページに移動PETを始めとして,頭蓋外から非観血的に脳が機能している様子を観察する方法は,非侵襲機能マッピング法として,1980年代から急速な発展をとげ,1980年代にはPETが,1990年代にはfMRIが注目されるようになって来た.このような手段によって,従来は動物実験でしか行えなかった生理的な研究を,ヒトに対して行うことが出来るようになり,ことに高次脳機能の研究や,臨床面での応用が,期待されている.しかし,PETやfMRIは装置が大型でかつ高額で操作も複雑であり,ベッドサイドでの応用に制約があった.PETやfMRIは,いずれも神経活動に伴う血流の変化を指標にして計測を行っている.一方,血流を計測する方法として近赤外線を頭蓋外から照射してその吸収を計測する方法がある.この方法は,従来は脳の広い部分を計測して,もっぱら脳全体の血流を計測するために用いられていたが2),神経活動に応じた局所の信号変化が得られることが報告されるようになり1,5,9,14),機能マッピングへの応用が検討されはじめた.われわれは頭皮上の多数の点から照射と計測を行い,脳表面の血流マッピングを行うことを試みている7,18).本稿では,われわれの実験結果をもとに,本法の実際を概説する.
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