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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科24巻5号

1996年05月発行

文献概要

症例

血管造影を契機として,pituitary apoplexyを発症した下垂体腺腫の1例

著者: 須賀俊博1 香川茂樹2 後藤英雄3 吉岡邦浩4 細矢貴亮5

所属機関: 1釜石市民病院脳神経外科 2岩手県立遠野病院脳神経外科 3岩手県立宮古病院放射線科 4せいてつ記念病院放射線科 5山形大学放射線科

ページ範囲:P.475 - P.479

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I.はじめに
 下垂体卒中は,一般に下垂体腫瘍の出血により,突然,激しい頭痛,視力・視野障害,髄膜刺激症状,眼球運動障害を起こし,時には死に至る疾患である4,6,9,12).この急性発症型の他に,数日から数週間にわたり亜急性に卒中症状を呈するsubacute pituitary apoplexy(sub—acute PAと略す)が報告されている5,8).このような卒中症状を呈するsymptomatic pituitary apoplexy(symptomatic PAと略す)に対して,卒中症状を欠きながら,MRIや手術所見により腺腫内出血が確認された例も知られるようになり,subclinical pituitary apo—plexy(subclinical PAと略す)と呼ばれている3,6).少量の腫瘍内出血はしばしば観察されるものであり,また,卒中症状のない例に,卒中を意味する“apoplexy”の用語を用いることに議論がある1).そのため,われわれは,腫瘍内出血が,MRIや術中所見などにて,きわめて広汎に認められるにもかかわらず,卒中症状のない場合に限り,subclinical PAと呼称している.
 われわれは,卒中症状を欠きながら,MRI上広汎な腫瘍内出血,すなわちsubclinical PAを呈していた巨大下垂体腺腫例で,血管造影を契機として,subacute PAへ移行した1例を経験した.MRIの進歩に併い,sub-clinical PAの診断が容易となった近年,symptomatic PAへの移行を観察しえた例は稀ではないと思われるが,詳細な報告はまだ見当たらない.文献的考察も含め,報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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