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症例
Neoadjuvant therapyとしてbrachytherapyが有用であったpineoblastomaの1例
著者: 多田英二1 松本健五1 富田享1 古田知久1 大本堯史1
所属機関: 1岡山大学脳神経外科
ページ範囲:P.481 - P.485
文献購入ページに移動Pineocytomaおよびpineoblastomaは松果体実質細胞由来で,両者合わせても全脳腫瘍の0.3%と極めて稀な腫瘍である14).一般に,pineocytomaは高分化型で予後も比較的良好であるのに対し,pineoblastomaは低分化型で浸潤傾向が強く,治療抵抗性で高率に局所再発や髄腔内播種を来たし,極めて予後不良であるとされている7,14).最近,放射線治療様式の改善や化学療法の併用でpineoblastomaの長期生存例も報告されているが6,9,10,16,22),両者の組織型の混在するものが存在すること,症例数が少ないことなどの理由から,その予後や治療効果については議論が多く,一定の治療方針は確立されていない.
われわれは1987年より悪性脳腫瘍に対し密封小線源療法(brachytherapy)を施行してきたが12,13),今回,brachytherapyおよび化学療法により著明に縮小はしたものの消失には至らなかったため,9カ月後に手術を行い容易に全摘出し得たpineoblastomaの1例を経験した.この症例は術後経過も良好で,松果体実質細胞腫瘍の治療方針の確立に一石を投ずるものと考えたので,治療経過を報告し,neoadjuvant therapyとしてのbrachy—therapyの役割について考察を加える.
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