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歴史探訪
スクリバ先生が精神鑑定をされた話—Julius Karl Scriba(1848.6.5-1905.1.3)
著者: 朝倉哲彦1
所属機関: 1鹿児島大学脳神経外科
ページ範囲:P.578 - P.580
文献購入ページに移動 わが国で最初に行われた脳手術は明治25年(1892)スクリバ先生による陥凹骨折の例であるとされている.わが国で初めてということは華佗(xwaday)以来脳手術の行われていないアジアでも初めてということになる,尤もこの前に頭部の創傷を外科的に処置した例が無いわけではない.まず,ウィリアム・ウイリスが明治元年戌辰の役(1868)において多数の戦傷者を診療しているし,明治10年西南の役(1877)では軍医監として大阪臨時陸軍病院長となった佐藤進が多数の戦傷者を熱心に診療し,石黒忠悳らと穿顱術をも行っている.これはあたかもHorsleyが1886年に行った歴史的脳手術3例が近代脳外科の始まりとされるのに対し,これに先立つMacewenの1876年の脳膿瘍手術,Godleeの1884年のグリオーマの手術があるようなものである.
しかし手術が計画的に行われ成功したばかりではなくその後に充分な神経学的考察を加えて報告したスクリバの手術を神経外科の嚆矢としたほうがよいだろう.
しかし手術が計画的に行われ成功したばかりではなくその後に充分な神経学的考察を加えて報告したスクリバの手術を神経外科の嚆矢としたほうがよいだろう.
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