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症例
中頭蓋窩から側頭下窩に進展した髄膜腫の1例:翼状突起基部へのinfratemporal approach
著者: 中口博14 鈴木一郎1 谷口真1 桐野高明1 市村恵一2 丹生健一2 山田敦3 梶川明義3
所属機関: 1東京大学脳神経外科 2東京大学耳鼻咽喉科 3東京大学形成外科 4諏訪中央病院脳神経外科
ページ範囲:P.643 - P.648
文献購入ページに移動蝶形骨洞の発達には個人差があり,気胞化が亢じると,翼突板基部から更には翼状突起内部にまで進展することがある2,4,9-12,14).この蝶形骨洞の翼状突起内部への進展部はpterygoid(or inferolateral)extension of the sphenoid sinusと呼ばれる10).
今回われわれは中頭蓋窩原発の髄膜腫が側頭下窩及び上記のpterygoid extension of the sphenoid sinusへ進展していた症例を経験した.中頭蓋窩から側頭下窩に進展した腫瘍性病変に対しては,側頭下窩を大きく開放する種々のアプローチが考案されている1,6-9,13,15-18).通常であれば腫瘍が翼突板基部〜翼状突起へ浸潤している場合,三叉神経第2枝,翼口蓋神経節,翼突管神経(Vidian nerve)等の障害を恐れ,なかなか機能温存を図りながらの腫瘍全摘出に踏み切れないが,このような空隙が存在し,翼状突起の範囲が内面より境界されている症例では,この空隙を利用して腫瘍摘出を試みる余地が生まれる.症例を呈示し,pterygoid extension of the sphenoid sinusへの外科的アプローチ法について検討した.
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