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症例
内耳道内伸展を示さず小脳橋角部脳槽内に限局した聴神経鞘腫の1例:“脳槽内”聴神経鞘腫
著者: 山上岩男1 岡信男1 山浦晶1
所属機関: 1千葉大学脳神経外科
ページ範囲:P.661 - P.664
文献購入ページに移動聴神経鞘腫は一般に,内耳孔より外側の内耳道内に存在する前庭神経のglial-Schwann cell junction付近から発生するため6),その初期から内耳道の変化を示し,耳鳴や聴力低下をきたすことが特徴とされている5).一方,内耳道の変化を示さない聴神経鞘腫が存在することも古くから知られており4),聴神経鞘腫はまれに内耳孔よりも脳幹側の前庭神経から発生することがあると考えられている2).しかし,術前検査にて内耳道の変化を認めなかった症例も,手術所見では腫瘍の一部は内耳道内に伸展していたと報告されており1,4),腫瘍がまったく内耳道内に伸展せず,小脳橋角部脳槽内に限局していることが,手術により確認された聴神経鞘腫の報告は認められない.われわれは腫瘍が大きいにもかかわらず,腫瘍の内耳道内伸展をまったく認めず,小脳橋角部脳槽内に限局した聴神経鞘腫(以下“脳槽内”聴神経鞘腫と呼ぶ)の1例を経験した.この症例は一般的な聴神経鞘腫とは異なった臨床的特徴を示していたことから,“脳槽内”聴神経鞘腫の症候学的特徴や治療上の問題点などについて考察を加え報告する.
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