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症例
急性特発性硬膜下血腫10例の検討
著者: 八木隆1 鈴木俊久1 永田安徳1 成瀬裕恒1 中川修1
所属機関: 1多根総合病院脳神経外科
ページ範囲:P.665 - P.669
文献購入ページに移動急性硬膜下血腫は,主に重症頭部外傷に際して架橋静脈や脳挫傷を生じた部位からの出血により生ずると考えられる.しかし,破裂脳動脈瘤,慢性硬膜下血腫の急性増悪,慢性硬膜下血腫に合併した皮質動脈瘤の破裂,脳動静脈奇形の破裂,軽度の外傷により発生したと考えられる仮性脳動脈瘤の硬膜下への破裂なども,急性硬膜下血腫を形成する原因と言われている1,4,6,9,13,16-18).最近,高齢化に伴い,明らかな頭部外傷が無く,また,出血源となる基礎疾患がなく発症する急性硬膜下血腫症例が増加してきている2,3,5,7,8,10-12,14,15,19-23).このような疾患を,急性特発性硬膜下血腫と呼んでいる.また,重症頭部外傷などの既往があっても,その後日常生活において何等,支障無く生活をおくる患者が増加しており,このことも,頭部外傷の既往のない急性特発性硬膜下血腫発症増加の一因と考えられている19),今回われわれは,15年間で経験した全ての急性硬膜下血腫症例と,その内で急性特発性硬膜下血腫と考えられた症例について検討を加え,急性特発性硬膜下血腫は,それほど稀な疲患ではないと思われたので報告する.
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