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連載 Functional Mappingの臨床応用—現状と展望・7
MEGによる高次脳機能検査
著者: 三國信啓1 長峯隆2 柴崎浩2
所属機関: 1京都大学脳神経外科 2京都大学脳病態生理
ページ範囲:P.691 - P.700
文献購入ページに移動脳磁図あるいは磁気脳波magnetoencephalography(MEG)は脳内に発生する磁界を頭皮上から測定する検査法で,興奮性シナプス後電位により大脳皮質錐体細胞尖頂樹状突起内に生じる細胞内電流がその磁界の主な発生源である.このため,MEGは脳波と同等の時間分解能を有しつつ,さらに頭蓋骨,脳脊髄液,硬膜などの伝導率の違いによっても歪まない磁場の特性より,高度な空間分解能をも有する.1960年以来の約30年間は基礎的研究の時代であったが,ここ数年,機械や処理理論の改良もあって,てんかんをはじめとする臨床応用が盛んに行われてきている.
脳の高次機能は,電気生理学的には主に大脳皮質誘発電位の長潜時成分に反映されている.このために施行毎の変動や,ほぼ同時に並列的に活動している複数の部位の解析等の問題を含んでいるが,MEGの非侵襲性と優れた時間および空間分解能から高次脳機能研究に対しての期待は大きく,ここ数年盛んに試みられるようになってきている.ここでは高次脳機能を精神活動の種類により分類し,各種誘発磁場による最近の研究を紹介する.
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