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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科24巻8号

1996年08月発行

文献概要

総説

脳腫瘍とコロニー刺激因子

著者: 栗栖薫1

所属機関: 1広島大学脳神経外科

ページ範囲:P.701 - P.708

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I.はじめに
 私達の生体内の情報ネットワークは神経系,内分泌系,免疫系より成り立っていることは広く知られているところである.そのmediatorはそれぞれ神経伝達物質であり,ホルモンであり,サイトカイン・免疫担当細胞・抗体である.これらが精巧に反応しあって生体を維持している.中でもサイトカインは生体内の殆どの臓器において産生され,局所においても全身においても多くの作用を有している.現在ではpsycho-neuro-endocri—no-immuno-modulationという概念が提唱され,hypo—thalamo-hypophyso-adrenal axisにおけるIL−1の作用はまさにその代表である.
 一方,炎症部位には白血球が集簇し,局所並びに周囲環境の認識,異物排除,炎症の鎮静,組織修復等を司っている.腫瘍も自己の中に生じた非自己の増殖を呈する特殊な炎症と捉えてよく,事実腫瘍周囲,内部には多くの白血球が集簇している.脳腫瘍も例外ではなく白血球の多寡はあれ,集簇している.コロニー刺激因子(col—ony stimulating factor,CSF)は本来骨髄においてそれぞれの血球幹細胞から分化,増殖していく過程を促進する物質として認識されていたが,近年中枢神経系内においても分子生物学的研究の手法によりCSFの関与が検討されるに至った.まだ研究の歴史が浅く範囲も限定されてくるが,本稿では中枢神経系,なかでも脳腫瘍とコロニー刺激因子について教室の仕事も含めまとめてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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