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症例
脳幹実質に浮腫性変化をともなったpetroclival meningiomaの特殊性
著者: 上出廷治1 鰐渕昌彦1 野中雅1 大滝雅文1 端和夫1
所属機関: 1札幌医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.841 - P.847
文献購入ページに移動錐体骨後面に発生した後頭蓋窩髄膜腫は組織学的に良性腫瘍であるが,摘出に際しては限られた術野で脳神経,血管系,脳幹及び小脳の損傷に注意しつつ摘出操作を進めなければならないため,従来手術アプローチの方法論についてのみ議論されることが多かった2,8,13,15).しかし,画像診断技術の進歩と顕微鏡下手術の発達にともなって,個々の症例で適切なアプローチが選択されるようになり,アプローチの選択ミスにより腫瘍の摘出が困難なものとなることは少なくなった.むしろ,腫瘍の持つ特徴そのものが手術成績に大きな影響を持つことが明らかとなってきている8,14).最近われわれは,petro—clival meningioma(PCM)に接する脳幹実質に浮腫性変化が認められ,摘出時腫瘍と脳幹部との剥離操作が困難であった症例を経験した.このような脳幹実質の浮腫性変化は,腫瘍摘出を計画する際,極めて重要な所見と考えられたので,その神経放射線学的所見と成因について考察し,報告する.
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