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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科25巻10号

1997年10月発行

文献概要

研究

脳神経外科領域におけるMRSA保菌者に対する補剤の効果

著者: 刈部博12 隈部俊宏2 石橋安彦3 酒井邦雄4 椎名巌造1

所属機関: 1渡辺病院脳神経外科 2東北大学脳神経外科 3石橋脳神経外科クリニック 4渡辺病院内科

ページ範囲:P.893 - P.897

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I.はじめに
 メチシリン耐性ブドウ球菌(methicillin resistant sta—phylococcus aureus,MRSA)は,メチシリンをはじめとするβ—ラクタム薬に耐性となったブドウ球菌の総称で,有効な抗生物質はほとんどなく,遷延性意識障害・広範囲熱傷・未熟児など栄養状態/免疫状態の低下した患者に重篤な感染症を引き起こす.このようなMRSA感染症は抗菌剤投与法の工夫等により,減少傾向にあるものとされるが11),かわって最近では,明らかな感染徴候を伴わなくても咽頭,喀痰,褥瘡などにMRSAを保菌する内因性保菌者が注目されつつある.脳神経外科領域のMRSA患者の多くは,MRSA内因性保菌者で6),しばしばMRSA保菌/排出状態が遷延化し,院内感染発生の危惧から院内感染対策を講ずる場合が多い.
 MRSAによる院内感染予防対策としては,患者を隔離し,直接接触を避け,滅菌消毒を励行する菌拡散防止策が一般的である.しかし,この方法は診療や介護の負担を増大させ,リハビリテーション進行のうえでも大きな妨げとなる6).しかも,内因性保菌者では耐性菌出現のため積極的な抗菌治療ができない場合も多く,治療が確立しているとは言い難い.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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