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症例
海綿静脈洞に進展した上咽頭癌の1例
著者: 田口潤智1 佐藤雅春1 佐々木学1 尾崎正義2 花田正人3 久山純4 早川徹5
所属機関: 1市立豊中病院脳神経外科 2市立豊中病院耳鼻咽喉科 3市立豊中病院病理部 4市立豊中病院内科 5大阪大学脳神経外科
ページ範囲:P.939 - P.942
文献購入ページに移動上咽頭癌は,局所の腫瘤形成や頸部リンパ節腫脹などを呈する耳鼻科領域の疾患である.初診時に既に転移巣を有する症例が非常に多く全体の70%以上を占め,これがこの疾患の予後不良の一因ともなっている.このように転移しやすいのにかかわらず,連続性に頭蓋底に浸潤することは,非常に近い部位でありながらまれであるとされている.われわれは,外転神経麻痺を呈した患者の海綿静脈洞病変に対して生検を行うことにより,上咽頭癌の存在が判明した症例を経験した,本例は原発部位に肉眼的には病変が認められないのにかかわらず,既に連続性に頭蓋内への進展を示しており,非常にまれであると考えられた.さらにこの症例に対して,手術と放射線治療を行い,寛解をもたらすことが出来たので文献的考察を加え報告する.
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