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症例
脳転移を来たした副腎皮質癌の1例
著者: 久保田芳則1 岩井知彦1 中谷圭2 坂井昇2 原明3
所属機関: 1朝日大学村上記念病院脳神経外科 2岐阜大学脳神経外科 3岐阜大学病理
ページ範囲:P.1039 - P.1042
文献購入ページに移動副腎皮質癌は日本病理剖検輯報で全悪性腫瘍の0.15%というきわめて稀な腫瘍であり,腫瘍の産生したステロイドにより,その過剰症状を呈する‘内分泌活性癌’と,ステロイドを合成しない‘内分泌非活性癌’とに分けられる.剖検時における臓器別の転移頻度は活性癌および非活性癌とも約半数以上に肺,肝に転移が発見され,中枢神経系への転移は15%と報告されている11).しかし文献的には,副腎皮質癌の脳転移に関して剖検例3例,臨床例3例の計6例の報告2,6,10,12,16,19)があるに過ぎず,詳細な画像診断を含む臨床経過の報告例は全くない.今回われわれは,副腎皮質癌が肺の遠隔転移とともに脳転移を来たした症例の診断,治療を行う機会を得たのでその詳細を報告し,若干の文献的考察を加える.
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