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症例
新疾患概念としてのlymphocytic infundibulo-hypophysitis with diabetes insipidusの提唱:症例報告と文献的考察
著者: 宮城航一1 新垣辰也1 伊藤壱裕1 古閑比佐志1 銘刈晋1 金城利彦1 新垣有正2 仲宗根進3
所属機関: 1琉球大学脳神経外科 2琉球大学第1病理学教室 3沖縄県立南部病院脳神経外科
ページ範囲:P.169 - P.175
文献購入ページに移動1992年,われわれはNeurol Med Chirにlymphocy—tic adenohypophysitis(以下LAHと略)としては珍しい妊娠出産に関係なく尿崩症を伴って発症した症例を報告した11).翌年,Ahmed2)は壊死を除けばわれわれの症例と病理学的にほぼ同じ病態を有した2症例をnecrotiz—ing infundibulo-hypophysitisと命名し報告している.その後,われわれはもう1例,同様な症例を経験した.従来報告されてきた妊娠出産に関係したLAH3-8,10,13,15-22)とわれわれの症例を含め尿崩症を伴ったlymphocytic infundibulo-hypophysitis(以下LIHと略)の10症例1,2,11,14,17,23)を比較検討した結果,Ahmedの提唱したne—crotizing infundibulo-hypophysitis2)を新しい疾患単位としてLAHから独立した疾患とすべきと考えた.ただし,壊死を伴った症例は10例中3例にすぎず,一方で全例に尿崩症を認めたことからLIH with diabetes in—sipidusと命名すべきで妊娠や出産と関連したLAHは炎症が下垂体前葉に限局し後葉は障害されないのでLAH related to pregnancy or deliveryと呼ぶべきである.この点に関して文献的考察を加え報告する.
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