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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科25巻3号

1997年03月発行

文献概要

解剖を中心とした脳神経手術手技

内視鏡を応用した経蝶形骨下垂体腺腫摘出術

著者: 北野昌彦1 種子田護1

所属機関: 1近畿大学医学部脳神経外科

ページ範囲:P.197 - P.203

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I.はじめに
 経蝶形骨近接法(sublabial rhinoseptal transsphenoidal approach)は,下垂体腺腫に対する手術ではスタンダードに用いられている.この発展には,Guiotによる術中X線透視装置の導入と,Hardyによる手術用顕微鏡装置を用いた手術手技の開発が重要な役割を果たしている4,6).本法の最大の利点は,アプローチに伴う脳損傷が全くないことである.しかし,解剖学的に限られた空間より進入するため,侵襲度の高い処置を追加しない限り,その狭い術野を容易に拡大できない欠点がある1).正中面では,前方は蝶形骨平面まで,下方は斜台中央部まで直視できるが,側方の海綿静脈洞に対する視野の確保が困難である.このため,腫瘍の摘出において最も重要かつ危険な海綿静脈洞内側壁や内頸動脈周囲の操作が,盲目的にならざるをえない.そして,このことが重篤な術後合併症を引き起こす原因となる14)
 内視鏡は狭い進入経路を介して内部構造を観察するための機器である.側視機能を備えた内視鏡を用いれば,あらゆる角度からの死角のない観察が可能となる.この特性を経蝶形骨法に応用することにより,手術用顕微鏡では死角となる部位を非侵襲的に観察することができる.しかし,脳室内部の観察を主目的として設計された内視鏡を使わざるをえない現状では,手術用顕微鏡と併用して手術操作を行うことはかなり困難である12).特に,経蝶形骨法では,内視鏡の進入経路,手術用顕微鏡の光軸,手術器具の挿入経路が同一の狭い空間であるため,内視鏡併用手術には特別な工夫を要する.本稿では,著者らの内視鏡を併用した経蝶形骨近接法を概略を紹介する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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