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研究
脳室穿刺に伴う局所脳循環代謝の変化について
著者: 中島重良13 水野誠1 鈴木明文1 安井信之1 上村和夫2
所属機関: 1秋田県立脳血管研究センター脳神経外科 2秋田県立脳血管研究センター放射線科 3前橋赤十字病院脳神経外科
ページ範囲:P.205 - P.212
文献購入ページに移動脳室穿刺は脳室ドレナージ(CVD),脳室腹腔短絡術(VP shunt)等様々な脳神経外科手術において多用されており,その有用性は明らかではある.また従来より臨床症状の出にくいいわゆるsilent areaを穿刺部位として用いることが多く,穿刺に伴って大きな血腫でも作らない限り臨床的に問題となるような症状が出現することはごく稀であり,その短所に注意が払われることは少ない.しかしながら一方でCVD,shuntの合併症として脳内血腫,硬膜下/外血腫,tension pneumocephalus,痙攣等が存在するのも事実で,その危険性を指摘し,安易な脳室穿刺を疑問視する論文も散見される1,2,4,5,7).また,当センターで1983年4月から1990年3月までに脳室ドレナージあるいはシャント手術で脳室穿刺がなされた450例,755回の脳室穿刺例のCT scan所見,臨床症状のreviewを行った結果,直径3cm以上の血腫形成を来した例を中心に低率ながらも臨床的に問題となる合併症を来した症例が存在し,また術後のCT scan所見では穿刺後にこれに伴う高吸収域が12.3%,低吸収域が59.3%,計72.5%と,明らかな臨床症状を来さないまでも画像上はかなり高率に穿刺による脳の器質的変化が観察された6).症例によっては脳室穿刺により,従来行われている臨床評価上には現われてこないような脳の局所的機能低下を来していることも推察される.前回のCTscan上の変化の検討に続き,今回脳室穿刺による穿刺部近傍の局所脳循環代謝の変化について検討を行った.
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