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研究
肺癌よりの転移性脳腫瘍に対するCDDPと5—FU併用によるbiochemical modulation chemotherapyの効果
著者: 中川秀光1 山田正信1 萩原靖1 金山拓司1 岩月幸一1 森内秀祐1
所属機関: 1大阪府立成人病センター脳神経外科
ページ範囲:P.215 - P.223
文献購入ページに移動近年5—FUとCDDPとの併用によって40-90%の高い奏功率が主に頭頸部癌や大腸癌で報告されるようになった(Table 1).これはただ単に両者併用による相乗効果1,33)だけでなく,それ以外にCDDPの5—FUの代謝への関与による可能性が考えられた.後者については,in vivo担癌マウスおよびラット系で白坂ら34)はその併用効果につき基礎的に検討し,CDDPはDNA鎖上のグアニンとの配位結合によるDNA合成阻害の他に5—FUの効果増強作用すなわち5—FUのbiochemical modulatorとしての作用を有していることを示唆した34).一方,Drewinkoらによりin vitroで5—FUの抗腫瘍効果を高めるためには濃度を高めるよりもその接触時間が重要で,長い露出が強い殺細胞効果につながると報告された7).以後5—FUの長期持続投与が推奨され19),その結果,大腸癌に対する治療効果が5—FUのweekly iv bolus scheduleの5-25%12)および5日間のivbolus scheduleの7%19)の低い値より,10週以上の持続投与結果が30%19)に,そして3カ月以上の長期持続投与の結果が31-39%18)へと上昇した.さらにその後の長期持続投与とweekly CDDPの投与との併用で63%3)にも達した.以後さらに低濃度5-FUの長期投与にCDDPの少量反復投与の併用治療が試みられ20),種々の良好な結果が報告されている.しかしながら転移性脳腫瘍症例に対する報告はいまだになく,この治療法の有用性を検討した.
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