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研究
聴神経鞘腫摘出後の顔面神経機能に影響する因子
著者: 黒川泰任1 上出廷治1 端和夫1
所属機関: 1札幌医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.225 - P.230
文献購入ページに移動聴神経鞘腫摘出術後,患者のADLで最も重要な点すなわち顔面神経機能の温存は,古くてしかし未だ改善されていない問題である.顔面神経は多くの例で術中保存が可能であったと報告されてはいるが,特に腫瘍が大きい場合には手術の際に顔面神経を解剖学的連続性をもって温存しえても,必ずしも満足すべき機能回復が得られないことも多い.また,部分摘出例でも長期間腫瘍の再増大が起こらないことが多い18)との報告もあり,状況によっては亜全摘にとどめ,顔面神経機能を優先させることも必要であると考えられる.このような意味から摘出術後の顔面神経機能に及ぼす諸因子を解析することは極めて重要であると思われる.
本報告では,過去の聴神経鞘腫例において,手術後の顔面神経機能の長期予後に焦点をおいて手術中の所見と対比し,術後の顔面神経機能の回復程度が予想し得るかについて検討した.
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