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研究
低体温のcortical spreading depression(CSD)に及ぼす影響について
著者: 上田守三1 渡邊徳明1 牛久保行男1 笠井敬一郎1 都築隆1 青木和哉1 山崎泰行1 鮫島寛次1
所属機関: 1東邦大学大橋病院第2脳神経外科
ページ範囲:P.523 - P.528
文献購入ページに移動脳梗塞,外傷性脳損傷の急性期においてCSD(corti—cal spreading depression)が惹起される現象について多くの研究がある8,10,25,31.CSDはfunctional decortica—tionといわれ,外部環境に対するhomeostasisの現象であり,器質的脳損傷を起こさない.しかし,CSDはpotassiumによるgliaの脱分極により惹起され,gluta—mateが細胞外に遊離するといわれる.それゆえ,CSDの反復はこのglutamate遊離を加速し,興奮毒性により2次性脳損傷を拡大させる原因になる可能性が考えられる.一方低体温の脳保護作用の一つに興奮性アミノ酸(glutamate等)の細胞外遊離に対する抑制作用があるといわれている.そこで,本研究では低体温のCSDに対する影響について,局所脳血流および組織学的に検討を行い,二次性脳損傷の予防に対する低体温療法の有効性を追求した.
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