文献詳細
文献概要
解剖を中心とした脳神経手術手技
頭蓋内—頭蓋内バイパス手術
著者: 宝金清博1
所属機関: 1北海道大学脳神経外科
ページ範囲:P.587 - P.597
文献購入ページに移動I.はじめに
血行再建は,1)血流量,2)血流方向,3)手法,4)目的といった視点から分類することができる(Table 1)24,28,33).血流量から見ると,a)高血流量バイパス(high flow bypass),b)低血流量バイパス(low flow bypass)の2つに大きく分けられることがあるが,厳密な定義はない.血流方向からみると,a)生理的方向のバイパス,b)非生理的方向のバイパス,の二つに分けることができる.手法は,実に多様であるが,基本的には,a)直接的か,b)間接的か,c)graftを使用するかどうかで,分けることができる10,27,44).また,血行再建術の目的からも分類が可能である.これらをまとめるとTable 1のようになる.1988年の国際共同研究の結果公表以降,慢性脳虚血に対する外科的脳血行再建は世界的には行われなくなった.しかし,本邦では,脳循環不全のある場合,現在でも行われている.しかし,現時点における脳血行再建術の適応は,2)と3)にある.この技術の多くは,脳動脈瘤手術や頭蓋底手術での応用範囲の広い技術と言える5,12,26,29,30-32,42).
バイパス手術のうちで,最もよく使われる頭蓋外—頭蓋内バイパス術(EC-IC bypass)は脳表面での吻合が主であり,脳神経外科医にとって応用範囲の広い基本手技と言える.これに対して,ここで述べる頭蓋内−頭蓋内バイパス術(IC-IC bypass)は,頭蓋内動脈間での血管吻合(short graftを介在することもある)を意味している.通常のEC-IC bypassでは,不十分であったり,不可能であったりする場合に応用される手法である18,35).したがって,その適応は必ずしも広くはないが,Table 1からも理解されるように,生理的血流方向である,血流量が十分であるなど,利点も多い.この手術手技は,様々な部位での応用の可能な独立した技術であり,特定の解剖学的部位に特有の技術ではない.本シリーズの主題からはややはずれるが,本稿では,主に,本法の手術手技に関して述べたい.
血行再建は,1)血流量,2)血流方向,3)手法,4)目的といった視点から分類することができる(Table 1)24,28,33).血流量から見ると,a)高血流量バイパス(high flow bypass),b)低血流量バイパス(low flow bypass)の2つに大きく分けられることがあるが,厳密な定義はない.血流方向からみると,a)生理的方向のバイパス,b)非生理的方向のバイパス,の二つに分けることができる.手法は,実に多様であるが,基本的には,a)直接的か,b)間接的か,c)graftを使用するかどうかで,分けることができる10,27,44).また,血行再建術の目的からも分類が可能である.これらをまとめるとTable 1のようになる.1988年の国際共同研究の結果公表以降,慢性脳虚血に対する外科的脳血行再建は世界的には行われなくなった.しかし,本邦では,脳循環不全のある場合,現在でも行われている.しかし,現時点における脳血行再建術の適応は,2)と3)にある.この技術の多くは,脳動脈瘤手術や頭蓋底手術での応用範囲の広い技術と言える5,12,26,29,30-32,42).
バイパス手術のうちで,最もよく使われる頭蓋外—頭蓋内バイパス術(EC-IC bypass)は脳表面での吻合が主であり,脳神経外科医にとって応用範囲の広い基本手技と言える.これに対して,ここで述べる頭蓋内−頭蓋内バイパス術(IC-IC bypass)は,頭蓋内動脈間での血管吻合(short graftを介在することもある)を意味している.通常のEC-IC bypassでは,不十分であったり,不可能であったりする場合に応用される手法である18,35).したがって,その適応は必ずしも広くはないが,Table 1からも理解されるように,生理的血流方向である,血流量が十分であるなど,利点も多い.この手術手技は,様々な部位での応用の可能な独立した技術であり,特定の解剖学的部位に特有の技術ではない.本シリーズの主題からはややはずれるが,本稿では,主に,本法の手術手技に関して述べたい.
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