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文献概要
症例
Choroid plexus carcinomaの1例
著者: 荒木加寿美14 青木友和1 高橋潤1 野崎和彦1 永田泉1 菊池晴彦1 横山瑞香2 服部春夫2 秋山祐一2 久保田優2 横溝大3
所属機関: 1京都大学脳神経外科 2京都大学小児科 3宇治徳洲会病院 4国立京都病院脳神経外科
ページ範囲:P.853 - P.857
文献購入ページに移動Choroid plexus tumor(以下CPT)は,小児脳腫瘍でも稀で,全脳腫瘍中1-3%を占める10).その中でもchoroid plexus carcinoma(以下CPC)はさらに稀であり,わが国では1969-1987年の間に14歳以下でわずか10例(全脳腫瘍中0.2%)が報告されているにすぎない7).CPCの主な好発部位は,側脳室に50%,第4脳室に37%,第3脳室に9%であり6),7割が2歳迄に発症する3).また,この腫瘍は非常に易出血性で,全摘出が困難であること,くも膜下播種を起こすことなどから,平均生存率が9カ月と,これ迄,比較的治療困難な疾患であるとされてきた3).しかし,最近では,化学療法や放射線療法,あるいは積極的な摘出術の結果,平均生存期間が延び,機能的予後も良いという報告が散見される2,4,5,8).
最近,われわれが経験した1歳の女児のCPCの症例を,若干の文献的考察を加え報告する.
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