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研究
イヌ脳血管攣縮モデルにおけるニカルジピン徐放剤の有効性
著者: 川島明次1 糟谷英俊1 塩川和彦1 宮島誠2 井沢正博1 高倉公朋1
所属機関: 1東京女子医科大学脳神経センター脳神経外科 2三共(株)第一生産技術研究所
ページ範囲:P.37 - P.43
文献購入ページに移動くも膜下出血に対して早期クリッピングが一般的になった今日,くも膜下出血後脳血管攣縮は予後を決定する大きな因子といえる.このため脳血管攣縮の治療法として様々な薬剤が用いられてきたが,この際,投与方法は有用性を論じる際に重要な要因となる.全身投与であれば効果は弱く,攣縮血管への動注では持続投与は出来ず,手技も繁雑となる.髄腔内投与の場合,効果は期待できるが,くも膜下出血術後,脳槽内にカテーテルを留置し,1-2週間持続して薬剤を投与し続けることは感染等,合併症の危険が大きく,術後管理に難渋することがしばしばである.そこで,われわれは髄腔内に留置できる徐放剤に注目した.
これまで,われわれはパパベリン徐放剤を開発し,その有用性を報告してきたが16),今回,髄腔内投与が臨床的に有効との報告がある15)ニカルジピンを用いて徐放剤を開発し,これによる脳血管攣縮発生予防効果を,イヌくも膜下出血モデルを用いて検討した.本実験の有効性が明らかとなれば,その投与は手術中の1回で済み,本法は臨床的に有用な治療方法となる可能性が高いと考えられた.
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