文献詳細
文献概要
症例
脳室腹腔短絡管によるS字結腸穿通—気脳症で発症した1例
著者: 刈部博1 石橋安彦2
所属機関: 1渡辺病院脳神経外科 2石橋脳神経外科クリニック
ページ範囲:P.79 - P.82
文献購入ページに移動脳室腹腔短絡術(以下V-P shunt)の腹腔側合併症として,shunt tubeの閉塞・屈曲・離脱,腹腔内嚢胞形成,腹水貯留,腸閉塞,臓器穿通等の報告がある.腸管穿通はこれまでに50余例が報告されており,その多くはshunt tubeを介した上行感染による髄膜炎,腸管穿通による腹部症状,短絡管閉塞による頭蓋内圧亢進症状で発症するとされる1-16).
今回われわれは,V-P shuntを施行して3年後に腹側チューブによるS字結腸穿通を来たし,気脳症で発症した稀な1例を経験したので報告する.本症例では繰り返し施行した腹部単純写において,発症6カ月前より腹側シャントチューブ先端が固定しているのが確認されており,腸管穿通の機序を考える上で,また補助診断として有用と考えられたので若干の考察を加える.
掲載誌情報