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研究
5-fluoro-2'deoxyuridine(FdUrd)の髄腔内治療への応用に関する研究—髄腔内治療の可能性に関してin vivoでの検討
著者: 中川秀光1 山田正信1 福島正和2 清水恵司3 池中一裕4
所属機関: 1大阪府立成人病センター脳神経外科 2大鵬薬品株式会社,創薬センター,第二癌研究所 3大阪大学脳神経外科 4国立岡崎共同研究機構,生理学研究所
ページ範囲:P.873 - P.879
文献購入ページに移動5-fluoro-2'-deoxyuridine(FdUrd)は,5-fluo-rouracil(5-FU)の活性代謝物であり,それ自体極めて強い抗腫瘍活性を有し,米国では大腸癌の肝転移に対する治療薬として肝動注療法としてのみ使用されている公知の化合物である7,8,15).かつて,FdUrdは転移性脳腫瘍に対する臨床応用はあるものの,いずれも静脈内投与での極少数例による成績で治療効果も確定するに至っていない5).このFdUrdは生体内でthymidine kinase(TK)によって代謝を受けintracellular monophosphatederivativeである5-fluoro-2'-deoxyuridine-5'-monophosphate(FdUMP)に変換されるとともにメチレンテトラヒドロ葉酸とともにDNA合成のkey enzymeであるthymidylate synthaseとter-nary complexを形成することにより,これを阻害してcytotoxicityを発現する2-4,6,14).一方FdUrdはthymidine phosphorylase(TPase)により5-FUへ異化されることからFdUrdの抗腫瘍効果の減弱に働き,また一部はfluoro-β-alanineに変換され神経毒性を引き起こす12,13,17).
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