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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科26巻10号

1998年10月発行

文献概要

研究

中枢神経系原発性悪性リンパ腫に対するHigh Dose Methotrexate(MTX)-CHOP併用療法(M-CHOP療法)の試み

著者: 松本健五1 前田八州彦1 小野恭裕1 田宮隆1 古田知久1 大本尭史1

所属機関: 1岡山大学脳神経外科

ページ範囲:P.889 - P.895

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I.はじめに
 中枢神経系原発性悪性リンパ腫は従来稀な疾患とされていたが,近年症例数の増加が指摘されており,頭蓋内腫瘍の鑑別診断において重要な位置を占めつつある2,7).本疾患は著明な放射線感受性を示すことより,治療はこれまで放射線療法を中心として行われてきた.しかしながら,放射線療法のみでは通常短期間で再発し長期生存が得られないことが多く1,15),放射線療法に加えて種々の化学療法の試みがなされている5,6,9,11,20,24).そのなかで,メトトレキセート(MTX)大量療法は,近年様々な投与法で応用され,良好な成績も報告されている2,6,8).一方,標準的な治療法であるCHOP(cyclophosphamide,adriamycin,vincris-tine,prednisone)療法の効果について評価は一定しておらず3,10,24),われわれが1971年から1995年の間に経験した悪性リンパ腫32例の検討結果では16),初期療法においてCHOP施行例の中間生存値が38カ月と他の化学療法に比べ最も良好であったものの,長期効果は満足できるものではなかった.以上の観点から,1995年より当科では中枢神経系原発性悪性リンパ腫に対し,CHOP療法とLeukovonin(LV)救援によるMTX大量投与の併用(M-CHOP)療法を第一選択として治療を行っている.今回その治療効果と安全性について検討したので文献的考察を加え報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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