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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科26巻2号

1998年02月発行

文献概要

総説

顔面痙攣の病態と手術

著者: 永廣信治1

所属機関: 1徳島大学脳神経外科

ページ範囲:P.101 - P.111

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I.はじめに
 顔面痙攣は,一側の顔面神経支配筋に同期して発作性,間代性の不随意筋収縮がみられる疾患である.1960年代にGardner(1962)は顔面痙攣患者の後頭蓋窩開頭による観察から,顔面神経のroot exit zone(REZ)での脳血管や動脈瘤による圧迫が本症の原因であり,手術により治癒可能であることを報告した8).Jannettaらは多くの顔面痙攣患者に顔面神経を圧迫する頭蓋内血管の減圧手術(microvascular decompression, MVD)を行い,すぐれた手術成績を報告した17,18).本邦では近藤20,21),福島7)らによりこの手術が開始された.現在では世界中の多くの施設でMVD手術が行われ良い成績が報告されている2-4,9,12,13,37,38,41)
 しかし,顔面痙攣の病態については,主として電気生理学的な知見から論じられてきたが,まだ完全には解明されていない.また顔面痙攣は生活上に苦痛や支障をもたらすものの,生命に危険を及ぼすことはない機能的疾患である.したがって手術では合併症なく完璧に痙攣を消失させることが要求されるが,やはり一定の率で不成功例や再発例が存在する.この総説では,これまでの電気生理学的知見から考えられている顔面痙攣の病態,圧迫血管の診断,手術手技,手術成績などを中心に述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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