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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科26巻3号

1998年03月発行

文献概要

連載 脳神経外科と分子生物学・1【新連載】

分子細胞生物学を理解するための基礎的知識

著者: 中村英夫1 佐谷秀行1

所属機関: 1熊本大学腫瘍医学

ページ範囲:P.200 - P.206

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I.はじめに
 細胞を構築している分子は,細胞の種類によって多少の違いはあるが,おおむね類似の組成から成り立っている.分子生物学とは,細胞を構成するこれら1個1個の分子をすべて対象とする学問領域である.ニューロンやグリアなどの神経系細胞の分子生物学的特性の多くは,他組織の細胞と共通であり,代謝経路,膜蛋白質,表在性蛋白質,細胞小器管,細胞骨格などの要素は,極めて他の細胞と類似している.近年,このような体細胞に共通して存在する要素が分子レベルで詳細に理解されてきたことは,神経系の分子生物学を学ぶ上で大きな恵みとなっている.つまり,他の細胞において解明された様々な分子メカニズムの知識が,脳神経系の分子生物学を研究する上で,極めて重要になってきている.言い換えれば,他の細胞で遂行されるが,神経系の細胞では遂行されないプロセス,逆に神経系の細胞だけに特徴的に存在するメカニズムの解明が,脳神経外科領域における分子生物学に取り組む上で興味深い点となりうるのである.本稿では,分子細胞生物学を理解するための基礎的知識として,遺伝子発現,細胞骨格,細胞周期,細胞内シグナル伝達について概説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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