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研究
「人口動態統計」から見たくも膜下出血—年齢,性による変化
著者: 野口信1
所属機関: 1東京逓信病院脳神経外科
ページ範囲:P.225 - P.232
文献購入ページに移動I.はじめに
未破裂動脈瘤の発見は脳ドックの主要な目的となっている.検査前に受診者に対し,くも膜下出血が,どの程度危険な病態であるかを具体的に示すことは必要不可欠なことである.その際,くも膜下出血の発生も,それによる死亡も年齢,性により変化することに留意する必要がある.それを示す方法として,剖検などによる動脈瘤の発生率2,12,20,21),未破裂動脈瘤の破裂の確率5,6,22),また,コホート調査など疫学的研究1,3,4,8,13,15,16,18,19),複数の病院の共同研究による臨床データ7,9)などが有用である.しかし,いずれも結果にかなりのばらつきがあること,日本では大規模な臨床研究は行われていないこと,またコホート調査は対象の数が少ないために,年齢や性による変化を知ることや,他の死因との比較が充分できないことなどが難点である.
それに対して,厚生省発行の「人口動態統計」10)による死亡統計は,死亡例だけのデータであるが,全数統計であるため日本全体のくも膜下出血の傾向を知るのに有用である.くも膜下出血については昭和26年以降各年の死亡数が,性別,5歳毎の年齢階級別にまとめてあり同疾患について得られる最大のデータベースといえる.
未破裂動脈瘤の発見は脳ドックの主要な目的となっている.検査前に受診者に対し,くも膜下出血が,どの程度危険な病態であるかを具体的に示すことは必要不可欠なことである.その際,くも膜下出血の発生も,それによる死亡も年齢,性により変化することに留意する必要がある.それを示す方法として,剖検などによる動脈瘤の発生率2,12,20,21),未破裂動脈瘤の破裂の確率5,6,22),また,コホート調査など疫学的研究1,3,4,8,13,15,16,18,19),複数の病院の共同研究による臨床データ7,9)などが有用である.しかし,いずれも結果にかなりのばらつきがあること,日本では大規模な臨床研究は行われていないこと,またコホート調査は対象の数が少ないために,年齢や性による変化を知ることや,他の死因との比較が充分できないことなどが難点である.
それに対して,厚生省発行の「人口動態統計」10)による死亡統計は,死亡例だけのデータであるが,全数統計であるため日本全体のくも膜下出血の傾向を知るのに有用である.くも膜下出血については昭和26年以降各年の死亡数が,性別,5歳毎の年齢階級別にまとめてあり同疾患について得られる最大のデータベースといえる.
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