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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科26巻4号

1998年04月発行

文献概要

研究

EC/IC Bypassの機能を規定する因子—自験例の検討

著者: 辻篤司1 徳力康彦2 武部吉博2 半田譲二2

所属機関: 1福井赤十字病院脳神経外科 2滋賀医科大学脳神経外科

ページ範囲:P.323 - P.330

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I.はじめに
 「浅側頭動脈—中大脳動脈吻合術(STA-MCAanastomosis)は,内頸動脈系の閉塞性脳血管障害に関して再発予防および神経症状の改善に対して無効である」との検討結果が,1985年にTheEC/IC Bypass Study Groupから報告された4,5).しかし,厳密に血行力学性脳梗塞に適応を限定した場合,STA-MCA anastomosisは血行力学を改善することによって,再発予防や神経症状の改善が期待できるとする,多数のretrospective studyが報告されてきた1,2,7,11,12).一方,血行力学性脳梗塞と診断し,同じSTA-MCA anastomosisを施行しても,術後の吻合血管を介しての血流量には,MCA全域を潅流するものから,吻合した皮質動脈1本のみの領域が潅流されるものまで,その機能には大きな隔たりを経験する7)
 本来,STA-MCA anastomosisの有効性とは,虚血発作の予防および虚血症状の改善で評価されるが,われわれは,術後の外頸動脈を介する潅流域の広がりを,術後の吻合血管の機能と仮定し,その機能を左右する術前の要素を,retrospectiveに検討したので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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