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連載 脳神経外科と分子生物学
発癌の分子生物学
著者: 田渕和雄1 福山幸三1
所属機関: 1佐賀医科大学脳神経外科
ページ範囲:P.468 - P.476
文献購入ページに移動細胞の癌化には,通常複数の遺伝子異常の蓄積が必要である.遺伝子異常を来たす原因は,大きく環境因子と宿主因子とに分類される.環境因子には化学物質,放射線,ウィルスなどがあり,宿主因子としては遺伝的背景や免疫低下状態などがあげられる.細胞の生存に必須の複数の遺伝子に異常が生じることが必要条件だが,さらに宿主の免疫監視機構をくぐり抜けて,癌細胞は増殖する.発癌に関与する様々な遺伝子の機能が解明されるに従って,それらが一方でアポトーシスを制御していることがわかってきた.代表的ながん抑制遺伝子であるp53遺伝子の詳しい機能が判明してくるとともに,アポトーシスとも関連していくつかの腫瘍の発癌メカニズムが次第に明らかになってきた.本稿では脳腫瘍の発癌とアポトーシスの分子機構について,最近の知見を中心に概説する.
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