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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科26巻7号

1998年07月発行

文献概要

連載 脳神経外科と分子生物学

血液脳関門の分子生物学

著者: 祖父江和哉12 浅井清文2 加藤泰治2 勝屋弘忠1

所属機関: 1名古屋市立大学医学部麻酔・蘇生学 2名古屋市立大学医学部分子医学研究所生体制御部門

ページ範囲:P.561 - P.569

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I.はじめに
 血液脳関門(blood-brain barrier:BBB)は脳の恒常性を維持する機構として,大変重要である.脳は他の臓器よりもさらに微妙に,血中物質の移行や物理・化学的な変化をコントロールされる必要がある.そのためBBBにおいては物質の移行が強く制限されると同時に,必要な物質は速やかに輸送されるシステムがいくつも存在しており,これらの構造・機能を総称する概念としてBBBは位置付けられる.
 歴史的には,1885年にEhrlichがいくつかの色素を経静脈的に投与すると,他の臓器とは違い脳は染色されないことを発見したのがBBBの始まりである21).1913年には,Goldmannが静脈内に投与した色素は脳に移行しないのに対し,髄腔内へ投与すると脳へ移行することを観察し30),さらに1969年にBrightmanらはホースラディシュペルオキシダーゼ(HRP)およびLa(OH)3を髄腔内に投与したところ,これらのトレーサーはアストロサイトの足突起間隙および毛細血管の基底膜は通過するが,内皮細胞間のタイトジャンクションは超えないことを発見し8),物質の移行を制限しているのは毛細血管内皮細胞であることを明らかにした.その後,様々なBBBに関する研究が進められてきた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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