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研究
脳動脈瘤手術におけるMRA,3D-CTAの発達と脳血管撮影の適応の変化
著者: 奥山徹1 齋藤孝次1 平野亮1 高橋明1 稲垣徹1 稲村茂1
所属機関: 1釧路脳神経外科病院脳神経外科
ページ範囲:P.607 - P.612
文献購入ページに移動脳動脈瘤の診断にわれわれはmagnetic reso-nance angiogralphy(以下MRAと略)を一次screeningとして行い,さらに動脈瘤の疑いのある症例はthree-dimensional computed tomogra-phic angiography(以下3D-CTAと略)を用いて診断し,直径2.0mmを越える動脈瘤はdigitalsubtraction angiography(以下DSAと略)と同じ診断率であったことを報告してきた5,8,9).これまでは動脈瘤の診断に脳血管撮影がかかせないものであったが,このように,MRA 3D-CTAでも十分であり,ときにはこれらの検査が脳血管撮影に優れる例も報告されている2,10).このようなことから脳血管撮影を行わずに脳動脈瘤の手術を行った報告1,4,7,8)もあるが,どのような例に必要なのかさらに検討を要すると考えられる.著者らの施設では,これまでの経験をふまえ原則として1995年11月からは破裂,未破裂にかかわらずなるべくMRAと3D-CTAで診断し,DSAを行わずに手術を行っている.この期間に破裂動脈瘤61例,および未破裂動脈瘤104例計1651列の手術を行い,このうち119例がDSAを行わず,残り46例は術前DSAを行った.これら165例の脳動脈瘤について脳血管撮影の必要性について再検討し,脳血管撮影の新たな適応について考察したので報告する.
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