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症例
破裂後大脳動脈P4部動脈瘤の1例—出血発症多発脳動脈瘤治療のpitfall
著者: 伊藤宣行1 塩川芳昭2 井出勝久1 高橋宏1 山川健太1 斎藤勇2
所属機関: 1東京都立神経病院脳神経外科 2杏林大学脳神経外科
ページ範囲:P.639 - P.643
文献購入ページに移動後大脳動脈瘤は椎骨脳底動脈領域の動脈瘤の約15%を占め11),そのほとんどは,後大脳動脈起始部より後交通動脈分岐部までのP1部,および後交通動脈分岐部より中脳後縁に至るP2部に発生しており,より末梢の後頭葉脳溝内にあたるP4部にはまれ11,19)である.今回,われわれはくも膜下出血(SAH)にて発症した破裂P4部動脈瘤症例で,合併する内頸動脈後交通動脈分岐部の未破裂動脈瘤を,破裂病変との診断のもとに急性期にclipping術を行い,術後18日目に初回血管撮影で見逃されていたP4部動脈瘤の破裂を来たした1例を経験した.本例は,動脈瘤の好発部位ではないP4部動脈瘤の再破裂が示唆され,出血発症の多発性動脈瘤の出血源同定や治療方針決定におけるpitfallと思われ,文献的考察を加え報告する.
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