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文献詳細

雑誌文献

Neurological Surgery 脳神経外科26巻8号

1998年08月発行

文献概要

解剖を中心とした脳神経手術手技

第3脳室及び鞍上部病変に対するAnterior Interhemispheric Approach

著者: 藤津和彦1

所属機関: 1国立横浜病院脳神経外科

ページ範囲:P.667 - P.677

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I.はじめに
 通常の(anterior)interhemispheric approachに用いられる開頭は前頭洞の開放を避けてやや高めに行われるいわゆるhigh frontalのcraniotomyである.この部位には通常,前頭蓋底から数えて一番目と二番目のbridging veinが存在し,いずれも大きく重要なものである.しかし,幸いこの2つの静脈の間には十分の距離があり,しかも開頭は丁度この2つの静脈の間で行われることが多い.したがってinterhemispheric approachを行うに十分な空間を確保でき,脳梁体部前半部に垂直に進入できる.しかしながら第3脳室への距離はやや長くなり,最も問題な点は第3脳室底に対して接線方向の術野を得ることが不可能であることである.視交叉下面や下垂体柄の確認はできない.開頭をやや低めに行って第3脳室に前極から進入するtrans-lamina terminalis approachは第3脳室内に進入する方法としては理に適っている.しかし,中途半端に低い開頭を行うと丁度第一番目のbridging veinが妨げとなることが多く,この静脈の切断と長時間の脳の圧排はしばしばcon-tusional hemorrhageの原因となる5).積極的に前頭洞を開蓋し,低いinterhemispheric approachを行えば一番目のbridging veinよりも低く進入でき,視交叉下面や下垂体柄の直視下術野も確保しやすくなる.周知の如く,第3脳室底は頭蓋底に対して30°程の角度を保っているので,前述の如き低いアプローチでも第3脳室底に対して垂直方向の術野も十分に得られる.
 前頭洞の開放の方法にはいくつか工夫があり,又,supraorbital barの除去範囲も必ずしも側方に広く行う必要はない.鼻骨を正中離断して鼻腔上半分をtransspeptalに進入すれば,さらに低いアプローチとなる.筆者が行っているこれらのアプローチの工夫を紹介し,加えて嗅神経温存の工夫に関しても述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1251

印刷版ISSN:0301-2603

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