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研究
脳神経外科領域における自己血輸血と自己血漿から作成したフィブリン糊の有用性と問題点
著者: 湯山隆次1 三島一彦1 藤巻高光1 鈴木一郎1 佐々木富男1 上野博夫2 柴田洋一2 桐野高明1
所属機関: 1東京大学脳神経外科 2東京大学輸血部
ページ範囲:P.685 - P.690
文献購入ページに移動一定量以上の出血を伴う手術には何らかの手段の輸血が不可欠であるが,同種血輸血には輸血後肝炎,HIV(human immunodeficiency virus)感染,GVHD(graft versus host disease),溶血免疫反応などの危険を伴う.特にHIV感染に関しては,国内に於いて輸血後感染が報告され社会問題にもなっている.また未確認微生物感染症の恐れもある.それらの危険を回避するために,近年自己血輸血を導入する施設は増加している.
しかし,脳神経外科領域での活用は,緊急手術の多さや自己血輸血に対する意識の問題,準備血液量の設定の困難,大量の血液準備量の必要性等があり遅れている.しかしながら,近年凍結保存が導入されてから,大量の貯血が可能となり,保存期間も半永久となった.今後症例数は増加するものと思われ,標準的な手順の作成が望まれる.
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